☆読書感想 なんでその価格で売れちゃうの?

著  永井高尚  マーケティングコンサルタント

2018

 

マーケティングにおける価格戦略についてまとめた一冊。

価格を下げるという行為は身を切る思いで行うべきことらしい。

 

物の値段というのは競争が激しい業界ほど、下がってしまう。

例えば、牛丼などは並み盛り280ぐらいが現在の基準だろうか。

他のファミレスやラーメンといった業界に比べると異常な安さであろう。

 

一度値段を下げると再度あげることがなかなかできない。

客は現在の値段を基準とする傾向があるので、損を避けようとする心理から値上げに対し、素直に受け入れられないのだ。

 

大塚家具は売り尽くしセールを何度も実施した。

これにより、高級価格でも買ってくれるいわゆる富裕層であった当社の顧客層が、離れてしまった。

 

これは当然の報いだろう。

高い価格で販売しているからこそ、そのものに価値があると感じていたのに、安値で売り出したら、その前に買った人が自分の物の価値を疑ってしまう。

顧客を裏切る行為だ。

 

価格は厳正にかつ計画的に決めなければならない。

 

ところでこの本で意外な雑学を得た。

それは1から3の三つ星で決めるミシュランガイドについてだ。

今まで、ミシュランというのは地名か何かだと思っていたが、あのタイヤメーカーのミシュランだと初めて知った。

ミシュランガイドミシュランタイヤの販売促進活動だったのだ。

 

今から100年以上前のパリ万博で、当時車が普及しだした時代、ミシュランはさらなる自動車の普及のために無料でこのガイドを配った。

自動車が売れればタイヤも売れる。

今や名だたる料理店に対する評価軸になっている当ガイドも最初は販促だったわけである。

 

無料という言葉で思い浮かぶのは「タダより怖いものはない」という格言だ。

この本ではある無料に関するある実験結果を載せていた。

ある2種類のチョコがある。

一つは高級(1500円とする)、もう一つは庶民的価格(150円とする)のものだ。

はじめ、両方とも100円値下げをし、販売した。

すると高級の方がよく売れた。

次に150円値引きした。(後者はタダになる)

すると庶民的な方がよく売れた。

 

同じ値引き額でもタダになると人は目が眩んでしまう。

人は損をしたくない生き物だということがよくわかる。

 

 

話を変えるが、最近、キャッシュレス制度について、話が盛り上がっている。

paypayの100億円還元キャンペーンはすごく魅力的だった。

購入額の20%還元は今までに例を見ない率だ。

ネットを見ているとなかなか賢い買い方をしている人も居たが、逆に何とかして得をしたいがために高い買い物をあえてする人もいた。

 

私は今回波に乗らなかったが、無理してでも高い買い物はしなくて良いのではないかと思う。

というより、どうしても欲しいというものがなくなってきたのかもしれない。

いろんな最新技術は人の目を輝かせるが、最近になってその光も霞んできたのではないか?

ものを欲し、それを買うという行為で購買欲を満たすのはキリがない。

もっと本質的な生活向上ができたら、残りの人生がさらに有意義になる。

 

焦らずに生きていこう。