☆読書感想 考える訓練
著 伊藤真 法学系私塾塾長 弁護士
2015
弁護士かつ、司法試験塾長の思考を著した本。
この本で共感を得られたのは、著者が塾生に合格ではなく、合格後を考えろと述べていた部分だ。
また、合格も不合格も等価値だとも言っている。
自分もつくづくそう感じる。
日本人はとくに学歴や資格、経歴を重視する。
受験が人生を決定付け、持たないものは蔑むのだ。
持っているものはまるで自分たちが世界なんだと宣う。仲間意識にとらわれ過ぎている。
だから会社が不祥事を起こしても他人事だし、すぐに他人に責任転嫁するのだ。
自分は悪くないチームが悪いと。
だがこのような考え方でいれば、社会から淘汰されるのは当たり前だ。
今や個人が自分の力でビジネスを起こせる。
YouTuberなどはその最たる例である。
だから、試験を受けるという行為もその免許に価値があるのではない。試験を受けるために能力を身につけることに価値があるのだ。
わたしも肝に銘じたい。
また、著者は物事を二元論で考えることにこだわっていた。
それは、物事がいい悪いと決めつけることではなくて、両方の見方をするということだ。
例えば、最近のニュースで言えば、トランプ大統領の対中関税で考えられる。
彼にしてみれば、関税によってアメリカ国内からの更なる支持を受けることができるわけだ。
だが中国にしてみれば、自国の生産力にしたがって、自然と対米黒字の状態が積み上がったのだから、ふざけた話だと怒るわけだ。
ここで重要なのはそうした見方をした上で、自分の意見を言うことだ。
私は関税など撤廃すべきだと考える。なぜなら、悪化した関係というものは、更なる問題を引き起こすからだ。
中国も対米関税を仕掛けたようにエスカレートしてしまうし、この前のG20でこれ以上仕掛けないと表向きは発表されたが、トランプが保守思想の国民から支持を受けている以上、やらざるを得ないことはわかり切っている。
彼は自分の名誉を掛けて、大統領をやっているのだ。
前回の選挙でアメリカはねじれ国会になったわけだが、もし今後大統領弾劾決議をすれば、日本と同じように政治不安が何十年も継続される。
すると世界経済が不安定になるので、どの国も成長が停滞する苦しい時代になるだろう。
なんとかして、心を入れ替えてもらいたい。