☆読書感想 人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊

著  井上智洋  駒大准教授

2016

 

AIの発達に伴う経済および雇用に関する影響を2045年のシンギュラリティまでにわたって考察した一冊。

 

まず、この著者はaiの発達により、現在の中流階級の雇用が消え失せると示した。

これは中流階級に属する事務労働がなくなり、富裕層の頭脳労働と貧困層の肉体労働のどちらかにシフトしていくというわけだ。

(基本的には貧困層に移る)

さらに肉体労働も次第にAIがカバーするようになり、そうすると貧困層でさえ、職を失うこととなる。

このとき、どのように国は対応していくのかという難題に対し、ベーシックインカム(BI)が有効になると説明している。

 

著者の考えるベーシックインカムでは全国民を対象とし、高齢者の年金をも所得とみなして、高所得者がより負担することになる。

無収入の子供であってもその対象とし、同一支給をするということらしい。

段階的に導入し、最終的に月7万円が妥当だと述べている。

 

しかし、これには反論を申し上げたい。

子供でもお金を支給されるということは、子供を作れば作るほど得ということになる。

現状でも大きな問題となっている待機児童問題があるが、これにどう対処するのか?

少なくとも少子高齢化対策にはなるが、正直なところ、このような制度を導入するのは根本的解決にならないと感じる。

導入時にインフレを発生させる可能性があるため、慎重に行う必要があるとか、そうではなくて、一番重要なのは海外から日本へ流れる金の流れではないか?

要は日本の対外生産力の向上である。

幾ら、手をこまねいても、これがないと国が保てなくなる。

 

現状日本の生産力はバブル後から低下してきているが、持ち直せていない。

日本の新しく出た企業も製品も海外に名を轟かせるということがない。

これは恐怖である。

未だにたくさんの企業や国のトップが、日本の成功体験に囚われ、革命を起こせていない。

 

日本は中国を見習って「創造的破壊」を起こさなければ、茹でガエルになってじわじわと死に近づくだろう。

 

変身せよ。日本。

すべてを破壊し、全てを繋げ。