☆読書感想 闇ウェブ

著  セキュリティ集団スプラウト(株式会社スプラウト)

2016

 

タイトルはヤミではなく、ダークと呼ぶ。

所謂ダークウェブに関しての一大事件や現状を綴った一冊。

 

この本を読んで私は初めて、ダークウェブで闇サイトを起こし、終身刑を受けた人間がいることを知った。

 

それはシルクロードというサイトを起こしたウルブリヒトという人間だ。

彼はこのサイトを運営した2年半で、約120億もの金額を手にしていた。

年齢も捕まった当時、29歳である。

 

シルクロードで取引されていたのは主にドラッグで、違法銃器や偽造パスポート、偽札、中には殺人代行サービスまであったようだ。

 

取引に使用されていたのは、ビットコインのみである。

 

ここで、私はいかにビットコインが汚い通貨であるのかをようやく理解できた。

前にビットコインマネーロンダリングに使われているとした文章を読んだことがあったが、軽く読んでいた。

ビットコインはその技術自体は匿名性と簡易性を持つ優れた存在であるが、実際の運用に問題を持っていると初めて認識した。

 

ともかく、悪の大首領DPRと呼ばれた彼は実際には好青年にも見える恐ろしい実態がすでに引き起こされていた。

 

 

ダークウェブとはサーフィスウェブと対象にあり、要は検索エンジンに引っ掛からないサイト群のことである。

これは、つまり氷山の一角に例えられ、氷山がウェブ全体を指すとき、サーフィスウェブは海面に出ている部分、ダークウェブは海面よりも下の部分である。

ダークウェブの方が、圧倒的に多い。

 

しかし、検索エンジンで引っ掛からないのであれば、いかにして、これらを利用するのであろうか。

これにはTorと呼ばれるツールが使われている。

TORはトーアと呼び、元はthe onion rouiterと呼ばれる技術で、pcが目的のサーバーにたどり着く際、その間の通信区間を何重にも暗号化することである。

実際にはネットワークの入り口と出口の間に3つ以上のpcルーターが存在し、それぞれのデータの暗号鍵は渡し元と渡し先の区間でしか知ることができない。

しかも、その経路は時間と共にランダムに変更されてしまう。

つまり、ほぼ完全なる匿名性を持っているということになる。

 

実際シルクロードもこのTorを利用したシステムであり、ウルブリヒトが捕まった原因もTor自体の欠陥というより、FBIの強力な捜査と個人的ミスによることが原因らしい。

 

したがって、この技術は今のところ警察や国家的組織から隠れで取引する凶悪なツールであることに変わりない。

しかし、やはりボロは出るし、ウェブ上の完璧な犯罪というのはそう生まれないということである。

 

 

Tor自体も本来は国内ネット監視を行う国で政治活動を行うためのツールであったわけで、優れたツールは天使でもあり悪魔でもある。

天使👼 or悪魔👿

 

使う側の人間はツールの使い方に十二分に注意を払い、使っていくことが必要である。

 

(ちなみにTor等は決して使用しないよう注意しよう。ツールの作成元がスパムやウイルスを仕込んで、情報を抜き取る可能性が高い。

Torを使うということはドラッグに手を出すことと同義だと考えよう。)