☆読書感想 インターネット・ゲーム依存症 ネトゲからスマホまで

著  岡田尊司  クリニック院長

2014

 

インターネット・ゲームに関する研究や将来を紹介した本。

本を手に取った時には気づかなかったが、著者は以前読んだ「生きるのが面倒くさい人」を執筆した方。

 

結論から言えば、インターネット・ゲーム、すなわちオンラインゲームやネトゲは麻薬と同じ効果を持つということだ。

 

これは近年の研究結果から示されている。

ゲームをやることにより、麻薬と同様に快楽を感じさせるドーパミンが大量にでる。

その後、この状況が続くことでドーパミン受容体が減少し、快楽を感じなくなってしまう。

するとゲームをやっている本人は快楽を感じるために、さらにゲームをするようになるということだ。

 

このような状態になると仕事や勉学に影響が出てしまい、ゲームが日常のほとんどを支配するようになる。

 

これはゲームをやる環境も大きく影響している。

00年代前半ではそれまでになかったオンラインゲームが流行りだした。

FF11など、人気コンテンツでもオンライン要素を取り入れ、大いに盛り上がりを見せた。

ゲーマーたちはそれまで個人の習慣に基づいて、ゲームを続けてきたわけだが、このオンラインゲームでは仲間とともにゲームをすることに意味が生まれたわけだ。

ゲーマーの大半は大学生や社会人などの成人で、彼らは仕事や学校での生活があるため、自然と帰宅後の遅い時間がアクティブ時間となった。

より強くなりたい、仲間との絆を維持したいゲーマーたちはその状況にのめり込み、彼らの中で、生活環境を崩してしまうものが現れた。

 

私自身は当時、オンラインゲームができる環境にはなかったため、所謂MMORPGには触れなかったわけだが、もし触れていたら、それにのめり込み、昼夜逆転の恐ろしい生活変化を起こしてしまったかもしれない。

それほどゲームには人を呑み込ませる魔力がある。

 

現在はソーシャルゲームが主流で、このようなオンラインゲームとはまた違った状況が生まれている。

誰もが手軽に時間場所を問わずゲームができる環境にある。

 

我々が子供の頃はこのような素晴らしい環境にはなかったわけだが、今の子供は幾らでも遊べる環境にある。

これは恐るべき事態である。

 

然るに親は子供にゲーム機やスマホを簡単に与えてしまわないよう注意しなければならない。

のめり込んで脳が破壊され、依存システムが出来上がる前に対処しなければならない。

これはゲームの進化とともに生きてきた我々の世代の義務である。

 

ただ、単純に禁止させるだけでは反感を覚えてしまうだろう。

明確な理由を子供に説明するのはなかなか難しい。

周りの友達はやっているのにという理由に対し、どのように答えてあげるべきなのだろうか。

 

私であれば、この本を読ませるだろう。

ゲームをやり続け、人生を破壊してしまうことがあるというのは、実際に体験させるわけにはいかないので、何らかの形でその症例を見せるといいと思う。

覚せい剤大麻など、薬物に関してはこのような教育が整っている。

ゲームはまだまだそのような危険視が足りていないので、今後は広がっていくのではなかろうか。

 

 

ここまでインターネット・ゲームについての話をまとめたが、ゲームに限らず、新しい技術や娯楽というのは人を惹きつける魅力がある。

これは老若男女、誰についても言えることだが、何かにのめり込むというのは素晴らしいと呼べる反面、やり過ぎてしまわないよう注意すべきである。

「過ぎたるは猶及ばざるが如し」という言葉の通り、何事も程々に抑えることが必要である。

それには物事に対する深い知識と強固な意思を持つことが大切である。

 

子供の頃からゲーム好きだった私もこの本に出てくるような悲しき人間にならないよう注意して生活をしたいと思う。