☆読書感想 ザ・プロフェッショナル

著  大前研一  私立大学院大学 学長

2005

 

執筆当時の状況で将来の動向を記した本であり、現在から10年以上前ではあるが、アマゾンだとか、ZARAとか、アップルといった現在も日頃耳にする単語が出てきたことに驚いた。

 

当時はまだスマートフォンが登場していないガラケー全盛期と呼べる時代で、ソニーFeliCaによる技術が、先進的技術であることを謳っていた。

今やFeliCaは日本でしかみられないガラパゴス技術だ。

[日本の iPhoneApple PayはFeliCaを搭載している。しかし、海外は別の規格である。このせいで、日本版と海外版で搭載チップが異なるが、両方を搭載するなどで今後は解消されていくだろう。]

たった10年という歳月が流れていく中で、ここまで状況が変わるとは、誰も想像することなどできない。

 

また、著者が原子力関係の元エンジニアということだが、福島原発事故のことはどう感じたのだろう?書かれていた通り、チェルノブイリスリーマイル島と同様、想定外の出来事に起因する事故だ。

たった一つの事故で、まるで環境が変わってしまうとは、これまた誰も想像できない。

 

今のビジネスは見えないものを相手する、インタンジブル(intangible)なものだと語っていたが、ビジネスに限らず、社会経済全体が想像できず、急激に変動する世界だと改めて思った。

 

それから、プロフェッショナルというものは、顧客優先主義を唱えるものだと書いている。

ただ私は顧客優先が、全てだとは思わない。

ビジネスでもプライベートでも、とにかく顧客優先を掲げてしまうのは良いことではない。

日本の教育および社会が同意性を求めることは誰もが分かっていることであるが、自分を殺し、客を神様だと思う概念が余りにも固定化されすぎている。

 

この前読んだ経営コンサルタントのスティーブン・コヴィー氏の言葉の通り、まず自主性があってから、協調性が育まれるのだ。

逆は成り立たない。

 

日本の教育をより自主性を重んじるものに変えていき、尚且つ我々大人も努力して変化していくことが重要だ。